32-19 神格化(神通の神変)
32-19 神格化(神通の神変)
2006/8/24(木)
教団が発展して変容してくると、仰がれる開祖の姿も発展し変容する。釈尊ゴータマは、永遠の真理を悟ったが故に、覚者と呼ばれる。しからば、真理を悟った人はみな覚者であるといわなければならない。その人は何ら超自然的な存在でもなければ、神秘的な人物でもない。いわんや超越神のごとき存在でもないはずである。
原始仏教聖典をみると、古い層と新しい層とでは、非常に思想に相違があるが、その古い層についてみると、仏教の開祖ゴータマはどこまでも、単にすぐれた人間として考えられていた。
ところが、マウリア朝の時代になって、ブツダの神格化がすすむ。かくして聖典は次第にブッダを神格的存在とみなすようになる。特に仏教が発展し、マウリア王朝時代にほとんど国教ともいうべき地歩を占めると、ゴータマはもはや人間でなくて、超自然的な神的存在と考えられ、神格化されるに至った。
神格化されたブッダは神通の神変を現ずる。覚者は偉大な力があると考えられ、はじめのうちは『力を得た人』と呼ばれていたが、のちには『十の力のある人』と呼ばれるに至った。
神格化は、
0)仏伝の発達
1)超能力の付与、体の特徴
2)転輪聖王との一体化
転輪聖王とは、ダルマを実現する人
ダルマ(普遍的真理)の観念が先に成立していた。