600ブッダの悟り

仏陀とブッダ

仏陀とブッダ 2007/8/20(月) 一冊の本にしてみるといろいろの問題が出てくる。最初に遭遇したのが、仏陀の表現方法である。 ゴータマ・ブッダ、ゴータマ・シッダルーダ、 仏陀、ブッダ、ブツダ、釈迦、釈尊、仏、如来 などが出てくる。困るのは、機械的にど…

仏教と出家の生活

仏教と出家の生活 2013/8/23(金) ブッダの時代においては、出家者は共同生活を営んでいた。出家者の共同生活では朝の托鉢で得た食べ物を全員が平等で分け合って食べ、食べ物が残っても貯蔵はしない。私はこの共同生活がある時代の人間の生活に酷似しているの…

チンパンジー レオ 松沢哲朗著『想像するちから』

チンパンジー レオ 松沢哲朗著『想像するちから』 2013/8/23(金) 松沢哲朗先生の『想像するちから』(チンパンジーが教えてくれた人間の心)という本に次のような一節がある。途中を省略してあります。 「2006年9月26日に、霊長類研究所にいるレオという当時…

少欲知足とブッダの悟り

少欲知足とブッダの悟り 2013/8/23(金) ■『遺教経(ゆいきょうぎょう)』 少欲知足は『遺教経(ゆいきょうぎょう)』という経典に説かれています。『遺教経』はブッダが入滅に際して、弟子たちに与える最後の言葉を集めたものといわれています。禅宗では、枕…

鉄器の普及と地獄の様相

鉄器の普及と地獄の様相 2013/8/25(日) 紀元前12世頃に成立したとされる最初期のヴェーダである『リグ・ヴェーダ』が理想とする人間像は、現世の享楽を楽しみ百歳の長寿を保った後、死の道を発見したヤマの楽園世界において死後、祖霊と楽しく交わるというも…

「苦楽中道」の積極意味

「苦楽中道」積極意味 2013/8/25(日) 伝統的なブッダの伝記(仏伝)によれば、縁起説がブッダの悟りの内容であったとされる。ブッダは解脱をもとめて、悦楽と苦行の中間の道(中道)をとり、禅定に励んだ。そして、禅定の中で得た知見が、ブッダを安らぎに導…

充足されることのない欲望

充足されることのない欲望 2013/8/26(月) 中山元氏は「古代ギリシアに繁栄と没落をもたらした競争原理」において次のように述べる。 欲望と社会的承認 http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20121204/240545/ ぼくたちの欲望は他者の欲望するものを…

仏教なぜなぜ

仏教なぜなぜ なんのために本を書いているのか。日常勤行になぜ経典からの引用が少ないのか。経典はなぜ漢文なのか。お盆やお彼岸の行事の意味は何か。なぜ、お寺に稲荷さんがいるのか。経典を読むだけで功徳があるのか。線香や蝋燭はなんのため。ご先祖はど…

燃えている

燃えている 2013/8/28(水) ブッダは、欲望への執着が苦の原因である、としている。それではその欲望とはいかなるものか。その内容を考える目にその激しさ、執拗さについての仏典に注目していただきたい。 先ず、愛欲は蔦や根に譬えられる。(スッタ・ニパータ…

ブッダに迫る

ブッダに迫る 2013/8/29(木) 1.ヨーロッパ近代哲学 ショーペンハウアー、ニーチェ2.日本の「少欲知足」文化 清貧の思想の系譜3.経済学の見直し 佐伯啓思4.歴史観の反省 発展史観から円環史観へ、ヨーロッパ中心史観の反省5.大乗相応の地 日本仏教…

アーリアの侵入と先住民族

アーリアの侵入と先住民族 2013/9/1(日) ■ インダス文明 紀元前2500年頃に、インダス河流域に都市文明が興った。この文明はインダス文明である。紀元前2000年頃から次第に衰退し始め、紀元前1800年頃に滅亡してしまった。 土地の隆起によってインダス河の流…

ヴェーダ時代のダイナミズム

ヴェーダ時代のダイナミズム 2013/9/2(月) ブッダの時代の北インドには十六の大国が林立していた。いずれもヴェーダの文化を基調としていたが東西では大きな違いがあった。西部のパンジャーブ(インダス河上流域)地方にはクル王国、ドアーブ(ガンジス河上…

祇園精舎と金貨

祇園精舎と金貨 2013/9/2(月) 祇園精舎(正式名:祇樹給孤独園精舎)は、シュラーヴァスティー(舎衛城)にあった精舎である。精舎とは比丘(出家修行者)が住する僧院のことをいう。 インドのシュラーヴァスティーにスダッタ(須達多)という富豪がいた。彼…

欲望と仏教

欲望と仏教 2013/9/3(火) ■ はじめに 「縁起、無常、無我」よりも、「少欲知足」と「今、ここ」の二つの言葉にブッダの悟りが言い尽くされているように思う。 ■ 「少欲知足」の欲 少欲の「欲」の意味が重要である。欲は欲求(生理的欲求)と欲望(社会的欲望…

古代インドの暦とインダス河

古代インドの暦とインダス河 2013/9/5(木) 最初のヴェーダである『リグ・ヴェーダ』の時代、インドにはなぜか暦は発達しなかった。太陰暦が主で太陽暦の一年に合わせて閏月をいれていた。インドでは本格的な暦が作られるようになったのは紀元後5世紀になって…

業と輪廻の思想(後) 善悪を超える行為

業と輪廻の思想(後) 善悪を超える行為 2013/9/7(土) ブッダの時代のインドでは高い農業生産力に支えられた豊かな生活があった。豊かな時代にあって人々は氏族や家族の共同体の軛から解放され自由な個人となった。ブッダが出るまでにインドには千年近いヴェ…

業と輪廻の思想(前) 個我の成立

業と輪廻の思想(前) 個我の成立 2013/9/10(火) ブッダが出てきた紀元前4~5世紀の頃には、業(ごう)と輪廻(りんね)の思想が成立していた。輪廻とは、生き物がさまざまな生存となって生まれ変わることである。インドでは、『チャーンドーギヤ』(5-3-10…

仏教は「道」を説く「実践哲学」

■ はじめに かつて伝統的には〝仏教とは縁起説である〟という理解が基本的には認められていたように思われる。しかし近年、〝仏教とは縁起説である〟という見解に対して、否定的な見解が示されるようになりました。この否定的見解を代表するのが中村元博士の…