32-23 ジャータカの成立

32-23 ジャータカの成立

2006/8/28(月)


 「最初は涅槃(ねはん)の場面が重要視された。次に、降魔成道(ごうまじょうどう)や初転法輪(しょてんほうりん)の場面、それに誕生の場面が付け加えられて仏伝は完成する。誕生、降魔成道、初転法論、涅槃の四つの代表的な場面を四相図という。なお、降兜率、入胎、誕生、出家、降魔成道、初転法論、涅槃の八つの場面を釈迦八相図という。」

 釈迦八相図(降兜率、入胎、誕生、出家、降魔成道、初転法論、涅槃の八つの場面)のうち、どの場面が最初の仏像のテーマとなったのであろうか。私は、このブログで、転輪聖王に比して釈迦のイメージが形成されていったことについてたびたび述べてきた。釈迦の死後、釈迦の存在が次第に神格化されてゆく過程で、転輪聖王とパラレルに考えられるようになり、「三十二相八十種好」という転輪聖王の特徴が釈迦の特徴としても考えられるようになった。

 もっとも早い時期のブツダ像は金貨に彫られた。金貨には、法輪に手を添える仏陀像が彫られている。金貨には当時の転輪聖王たらんとしたクシャン朝の王の意図がこめられているのだろう。ブツダにおいて成立した転輪聖王にイメージに仮託したのではないだろうか。