700哲学-00現代哲学

『再帰的近代化』とは

『再帰的近代化』とは 2013/8/22(木) ■はじめに 現代は、フランス革命や産業革命以上に大きな革命がおきている。以前の「単純な近代化」の段階においては、近代は近代以前のもの、たとえば伝統的な社会制度や政治制度、あるいは自然を近代化していった。この…

デンマークのジャンテロウ 2

デンマークのジャンテロウ 2 2013/9/12(木) ヤンテは架空の村です。1933年にデンマークのアクセル・サンダモセの小説に出てきます。この小説は当時のデンマーク人に対する風刺だったようです。当時のデンマークの社会はいわば「悪しき平等主義」に陥って、現…

デンマークのジャンテロウ 1

2013年度の世界幸福度レポート(World Happiness Report)が、コロンビア大学地球研究所から発表されました。これによると、世界で最も幸福度の高い国はデンマークで、続く2~5位は順にノルウェー、スイス、オランダ、スウェーデンとなっています。 この総合…

デンマークのジャンテロウ 3

ジャンテロウ、つまりヤンテ村の法律を見ているうちにいくつかの類似する例を思い出しました。競争社会になる前の日本の共同体です。農村共同体だけでなく企業内の社会もヤンテ村のような共同体であったのではないでしょうか。そこでは、まさに出る杭は打た…

デンマークのジャンテロウ4

デンマークのジャンテロウ4 2013/9/13(金) 歴史を見ると、狩猟採集時代の後の時代において狩猟採集社会に似た平等な共同体を造った人物がいます。ブッダです。ブッダの時代、修行僧はサンガにおいて集団生活をしていました。このサンガでの集団生活は狩猟採…

ショーペンハウアーとブッダ 1

ショーペンハウアー(1788-1860年)は、ドイツの哲学者、主著は『意志と表象としての世界』(1819年)である。ナポレオン戦争や48年革命の時代のドイツ諸都市を舞台に独創的哲学は形成された。ショーペンハウアーが生きた時代は、「哲学の荒れ狂った時代」言い換…

ショーペンハウアーとブッダ 2

ショーペンハウアーとブッダ 2 2013/9/16(月) ショーペンハウアーが世界の根本的な実在だと考える意志は、世界の最初から続く目的も意味もない盲目的な実在である。個人は表象の一つだが、意志のみが本質で表象はすべて幻想である。意志には目的がないので、…

エピクロスの快楽主義

エピクロスの快楽主義 2013/9/21(土) エピクロス (BC341-BC270) は、ストア派の創始者ゼノンとほぼ同じ時期に生まれ、アテナイを拠点に活動した。彼の創始した学説は、ストア派の説と並んでヘレニズム時代の思想を代表するものとなった。いずれも、世界帝国…

トランスパーソナル心理学

トランスパーソナル心理学 2013/9/24(火) ■トランスパーソナル心理学=第4の勢力 トランスパーソナル心理学は、1960年代末、アメリカ西海岸に生まれた、心理学の新しい潮流で、第四の勢力といわれています。第一は実験・行動主義心理学、第二はフロイド派精…

欧米心理学と仏教

■1950年代後半の仏教、特に禅と精神分析の対話の第一の盛り上がり 仏教と精神分析の直接の対話は、一九五〇年代後半において最初の盛り上がりを見せた。これは、禅思想を英語で紹介し続けてきた鈴木大拙の存在と働きなしには考えられない。それゆえ、精神分…

永劫回帰はアンチテーゼ

■普仏戦争の勝利 フランス革命はヘーゲル(1770~1831)が19歳のときである。ヘーゲルはフランス革命に感激した。ゲーテ(1749~1832)やナポレオン(1769~1821)やベートーベン(1770~1827)らは同時代に活躍を目の当たりにしして、ヘーゲルはキリスト教…

No.01 デカルト 小場瀬卓三訳『方法序説』から

ケプラーは惑星の運動法則を具体的に確立し、ガリレイは望遠鏡をもちいて天体を観測し、天文学を飛躍発展させた。かれは地球の回転を確言し、この思想をラテン語ではなく俗語、すなわちイタリア語で書くことによって普及させた。・・・それと同じ頃、イギリ…

No.02 村上陽一郎「科学革命」

No.02 村上陽一郎「科学革命」 『概説西洋史』 有斐閣選書 2006/3/12(日) 村上陽一郎「科学革命」木材尚三郎・本間長世編「概説西洋史』有斐閣選書p93 科学的な領域における旧新の理論系の交代を、科学革命と呼ぶ。科学革命は1543年に始まったということ…

No.03 河野健二編 『世界の名著』

No.03 河野健二編 『世界の名著』 <p44> 『プリンキア』にみられるニュートン物理学の方法は、実験事実だけから一般化して原理をたて、この原理から演繹的・論理的に総合的な結果をみちびき、それを実験的に検証するという手続きを根幹としている。この様…

No.04 村上陽一郎 『「キリスト教の自然観と科学』

キリスト教と自然科学との関係を考えるにあたって、両者を対立し合うものとみなす時代はすでに過ぎた。・・・むしろ第一には、キリスト教の一面が、じつは近代合理主義そのものである、という論点にその基本的な様相があり、第二には、それにもかかわらず、…

No.05 フリッチョフ・カップラー『ターニング・ポイント』から

<p75> 今日の西洋文化にあって、いま注意深い再検討が必要とされる世界観と価値体系が、その基本的な輪郭を整えたのは、15世紀と17世紀のことである。・・・13世紀に、トマス・アクィナスは、アリストテレスの包括的な自然体系をキリスト教的な神学…

No.06 T.S.エリオット 『伝統と個人的な才能』

歴史感覚には過去が過去であるということはもとより、過去が現在に生きているという認識がなければならない。歴史的感覚が入にものを書かせるとき、骨の髄まで自分自身の 世代のものであるだけでなく、ホメロス以来のヨーロッパ文学全体とそのヨーロッパ文学…

No.07 山本健吉『エリオットと日本の詩』から

エリオットはこの論文において過去の現在性、現在の過去性に立脚した、伝統論、非個性論を展開している。作品の鑑賞と批評との対象は、作品でなく作者の個性であり、作品はそのための通路にしかすぎない。 作品創造の原動力を個性の中に求めようとするところ…

No.08 今西錦司の進化論

今西錦司 『自然学の提唱』 長い過去を振りかえるととき、私が学問をつづけてきたことは、確かなのであるけれども、ではいったい何学を志向してきたのであるろうか。・・・いろいろのことをしてきたけれども、終始一貫して、私は自然とはなにかという問題を…

No.11 伊藤俊太郎 『比較文明』から

<p212> たとえばイスラム文明を取り入れても、西欧はデカルトの時代になりますと、機械論というような独自のパラダイム、あるいは自然把握の枠組でもいいが、そういうイデオロギーで、自分たちの科学をつかみますよね。そしてそれが、今度は世界的になりま…