51-01 ミャンマー(ビルマ)

51-01 ミャンマービルマ

 
 何年か前、2月の末にミャンマービルマ)に行った。ミャンマー上座部の仏教国である。上座部の仏教を、日本では小乗仏教(あるいは原始仏教)というが、ミャンマーの人は「小乗」という表現を嫌う。

 上座部の仏教の国、ミャンマーの仏像は釈迦如来のみである。首都ヤンゴン(ラングーン)の中心にある、シュエダゴォンパゴダは、釈迦に遺髪が納められている寺院として崇拝されている。中心に大きな塔があり、その周りには無数とも思われる小塔が立っている。塔はいずれも黄金に装飾されており、仏像も金色に輝いており、なかには光背がイルミネーションがほどこされているものもあった。塔と仏像を金で荘厳するのが信仰の最大の証と考えられている。

 シュエダゴォンパゴダはとにかく広い。寺院はすべて素足で拝観することになっている。中央の塔が黄金色、内部の仏像も黄金色、周りの建物の多くも黄金色。それらが乾季の2月の青空と太陽に燦然と輝いている。地面は大理石の敷石が敷かれているが、一箇所に立ち止まると、足の裏をやけどするのではないかという熱さだ。

 ヤンゴン市内には、このような寺院がいくつかある。仏教国として、信心は厚く、寄付(賽銭)も多く集まるようで、修復や修理も十分になされている。ミャンマーは電気事情もよくないようで、夜は市内でもあまり明るくない。しかし、有名な寺院のストゥーパはライトアップがされ、夜は遠くからもその姿を見ることができる。

 ミャンマーは軍事国家で仏教国である。ガイドさんに聞いたところ、僧役(?)義務があり、8歳から20歳までの間に、一週間だけ僧としての修行をする義務が課されているとの事である。また、学校では、毎日、経典の暗誦が行われる。パーリ語の経典で5分間ほどの長さだということである。

 パーリ語というのは、釈迦が話していたというマガダ語にもっと近い言葉とされる古語で、現在残る最初期の仏典がこのパーリ語によるものである。さすが上座部の仏教国です。しかし、暗誦している中身はよくわからないとの事。

 町の中には野良犬がうろついている。顔を見合わせるとこちらに人なつっこそうに近寄ってくる。子供はともかく大人がいじめるということはないとのことである。すずめもその他の鳥も近くまでいっても逃げまない。これも仏教国のせいだろうか。

 ミャンマーに仏教が入ったのは11世紀、中部の高原地帯のバガンに統一王朝が成立したときのことである。バガンでは盛んにストゥーパ(仏塔)が造られ、その数は3万とも4万とも言われる。その後、蒙古の襲来でバガン王朝は壊滅したが、造寺造仏の伝統は今に引き継がれている。