懺悔の意味

懺悔の意味

2007/5/23(水) 午後 5:58 500『新視点の仏教史』から 歴史


伝教大師最澄の円頓戒

 天台宗では今年度から開宗千二百年の行事が始まり、 総授戒という問題が取り上げられております。 総授戒というのは、 天台宗の檀家さん、 信徒さんに受戒をさせよう。 五つの戒律、 円頓戒をお授けしようということです。
 さて、 その円頓戒の中に不飲酒戒がございます。 私も不飲酒戒を受けております。 高校に入ったとき受戒をしましたけれども、 師匠との間で、 「不飲酒戒というのは酒を飲んではいけない。 わかったな」、 「はい、 わかりました」。 「よく保つなや、 否や」 と言われて 「よく保つ」 と、 三回繰り返しました。 ところが大学の新入生歓迎コンパで、 酒を嫌というほど飲まされた。 それが私の、 酒の最初の経験です。 それ以後ずっと飲み続けで、 毎日不飲酒戒を破っております。
 比叡山延暦寺に山田恵諦というお座主さんがいらっしゃいました。 そのお座主がある酒の席で、 「酒を飲んじゃいけないというのは伝教大師がおっしゃった戒の中にある。 だけども天台宗には、 懺悔という修行もある」 と。 サンゲというのは、 ご存じのとおり、 「悪いことやりました」 と、 仏さんの前で告白し、 「酒はもうやりません」 と、 悔い改めるわけですが、 その行が天台宗の中心である、 とおっしゃった。 そう言われてみますとお勤めは、 朝は法華三昧という方式でやります。 これは法華経を中心にしておりますけれども、 全部内容は懺悔です。 夕方は例時作法という作法でやります。 これは阿弥陀経を中心にしておる教法です。 これも、 懺悔です。 ですから懺悔をきちんとやればいいんだということで、 「お前ら、 不飲酒戒を破るんだから、 きょうはゆっくり本尊様におわびしなさい」 というようなことで、 ご自身もちょっと召し上がられて 「私も懺悔する」 とおっしゃっておられましたけれども。
 しかしお檀家さんや信者さんにその不飲酒戒を授けながら、 懺悔すればいいんだよ、 ということで済ますわけにはいかないと、 大問題になりました。


引用・参照
・中山清田先生 講義録「日本仏教における本覚論」
  講義/第16期スクーリング 東京国際仏教塾
 http://www.tibs.jp/kougi/nakayama/nakayama03.html