朝日と桜

朝日と桜

2007/4/12(木)


 根尾谷の薄墨桜は、我が家からは北へ約40kmのところにある。植わっている場所は、根尾川の西の小高い山の中腹である。中腹は平らになっており、かつては水田があったが、今は公園として整備されている。

 薄墨桜が咲く一週間ほどの間は休日には薄墨桜までの道路は大渋滞になる。4~5時間かかることもある。それで早朝ならば、ということで暗いうちに出かけたら、道路はスクスキ、駐車場もガラガラで一時間ほどで着いてしまった。まだ、6時前で空は明るくなっているが、桜の老木はまだ暗く眠っているようである。

 川を隔てた東側にも小高い山があって、朝日はその山にさえぎられてなかなか差してはこない。やがて、峰越しに朝日が射し始め、桜の後ろの山の峰が明るくなる。それが次第に下に広がってくる。桜にはまだ刺さない。依然として眠たげである。ようやく桜にも陽が届く。東の山は高く、朝日が差し込んでくるときには朝日は高い位置にまで昇っている。

 朝日は単純に老木を照らし出さない。まず、背後が明るくなる。老木の下のほうはまだ暗い。逆光のようになっている。次の瞬間、朝日は老木の全身を照らし、公園全体も瞬く間にあかるくなる。この瞬間、老木は身震いをするように輝く。そのとき、思い浮かべるのが下記の歌である。

 敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花

 この経験をしたのが十数年前である。そのときはフィルムカメラで写したのだがその感動が写っていない。それ以来チャンスを待っていた。今年は黄砂が多くあきらめかけていたが、黄砂がやんだ。しかも、高気圧が張り出して、天気は安定。いつものように早起きをすると満月が煌々と輝いている。チャンス到来で合う。

 早速準備をして出かけた。問題はあの感動をどう撮るかである。結局デジカメのインターバル撮影機能を利用した。1分ごとに自動で撮ってくれる。三脚に設置して、場所さえ選べば後はカメラがやってくれる。今回は大成功である。朝日に次第に照らし出されていって最後に輝く桜は何度見ても感動する。