32-13 「仏像」の二つの意味

32-13 「仏像」の二つの意味

2006/8/18(金) 午前 7:02 --32 仏像と経典の成立 歴史

facebookでシェア
twitterでつぶやく


 仏像は英語でなんと言うのか。a Buddhist image または、an image of Buddha である。image の意味は広い。彫像のみでなく、画像、さらには、心像までも含む。彫像のみに限る場合は何というのか。先日訪れた韓国のソウルの国立博物館の仏像彫刻のコーナーの説明は、buddhist sculpture であった。

 このblog ”目からうろこの仏教史散策”では、仏像はとくに断らない限り、仏像彫刻(buddhist sculpture)の意味で使っている。この書庫のテーマ”仏像の成立”の「仏像」ももちろん、仏像彫刻のことである。三省堂提供「大辞林 第二版」で仏像の意味を調べると「彫刻や絵画などの造形方式によって表された、信仰の対象としての仏の形像。多く彫像をいう。」とある。

 ところで、仏像彫刻は何もないところに突然表われたのではない。仏像彫刻の出現の前史とでもいうものを考えなくてはならない。前史は、「心像としての仏像」の成立があった時代である。さまざまなプロセスを経て、「三十二相八十種好」のもろもろの特徴を持つものとして、「仏像の心像」が完成されるに至った。

 「仏像の心像」が先ず形成された、と見ることが、仏像彫刻の発生の謎を解明することになると考える。しかし、「仏像彫刻」、「仏像の心像」という表現は、わかりづらい表現である。幸い、日本では、image という言葉は主に「心像」の意味で使われることが多いように思う。したがって、「仏像彫刻」、「心像」をそれぞれ、仏像、イメージということとしたい。

 ちなみに、偶像崇拝は、Idolatry あるいは、worship of idol である。