200-00-04 「目からうろこ」2

00-04 「目からうろこ」 2

2007/1/22(月)


 密教とは「秘密仏教」のことであるという。この「秘密」の意味についてこんな説明を読んだことがある。密教の側は何も「秘密」にしてはいない、密教に接する人間の側が偏見や先入観に囚われて物事をあるがままに見ることができないだけである、というのである。

 「目からうろこが落ちる」というのは、今日の理解では、「あることをきっかけにして急に物事の真相や本質がわかるようになること」をいうとされる。このブログのテーマにくっつけた「目からうろこの」意味はこのような理解で使用した。密教の意味に即して言えば、偏見や先入観が「うろこ」であり、そのうろこが落ちたとき、仏教の真実も顕わになる、ということになるだろう。私もこのように理解していた。

 ところが、聖書での用い方は少し異なるようである。再度引用してみる。

「すると、たちまち目からうろこのようなものが落ち、サウロは元どおり見えるようになった。そこで、身を起こして洗礼を受け、食事をして元気を取り戻した。

 目からうろこのようなものが落ちた結果は、「元どおり見えるようになった」だけである。今日の理解とは少し異なるように思われる。仏教の歴史に関するテーマに聖書に由来する表現を使うというのは、ミスマッチかもしれない。しかし、仏教の歴史も多くのミスマッチを繰り返している。しばらく、このままにしておくこととする。