16-08 慧思 如来蔵思想と法華三昧

16-08 慧思 如来蔵思想と法華三昧

2006/11/26(日)


 智顗の師事した南岳慧思(なんがくえし 515~577年)は『南岳思大禅師立誓願文』を著して「正法五百歳止住・像法一千歳止住・末法一万歳止住」の明文を遺した。いわゆる正・像・末の三時説を立て、末法思想の唱道者として有名である。現在および未来の一切の衆生を救わんがために金字の摩訶般若波羅蜜多経と法華経を造ったと記している。

 『法華経安楽行義』一巻が現存する。その中で「一切衆生法身蔵を具足すれば、仏と一にして異なるところなし」と法身蔵すなわち如来蔵を説いている。これに続く偈頌(げじゅ)では、

  無上道を求めんと欲せば、法華経を修学すべし。(中略)
  衆生が教えの如く行ずれば 自然に仏道を成ぜん。

といい、法華三昧を証すれば衆果ことごとく具足すると説き、頓覚、疾成仏道を強調している。慧思はこの法華三昧を智顗に伝えた。

引用・参照 
・丸山孝雄 「法華思想の展開」『東アジアの仏教』所収 p356
  岩波講座 「東洋思想」第十二巻