14-03 中国仏教史と禅宗

14-03 中国仏教史と禅宗

2006/11/8(水)


 中国の仏教史の時代区分について眺めてみる。鎌田茂雄氏は『中国仏教史』(岩波書店 昭和54年刊)で、
1、伝来と受容 --- 後漢・三国の仏教
2、発展と定着 --- 東晋南北朝の仏教
3、完成と盛大 --- 隋・唐の仏教
4、実践と浸透 --- 宋・元以後の仏教
と区分されている。この区分の特徴は、唐と宋との間に区分を立てられたことである。

 この区分の理由について、『中国仏教史』(大唐出版社 2001年刊)には、次のような記述が見当たる。
 「貴族の崩壊によって文化や宗教の担い手は新たに勃興した読書人階級である史大夫や民衆にかわった。中国仏教史における一大転換期が宋代である。
 (1)インドや西域からの伝訳流入による刺激がなくなり、
 (2)法難破仏や五代の戦乱で、諸宗の章疎典籍が散逸したことや、
 (3)禅宗-中国人の仏教-の発達
などの諸条件が仏教の一大転換を促進せしめずにはおかなかった。」

 私も、氏と同様に、唐と宋との間に区分を設けるべきだと考える。その変化は禅宗の登場に象徴される。

 大乗仏教は中国において初めて花開いた。鳩摩羅什の翻訳と教育の成果があって、羅什以降の中国仏教は大乗一色になった。その後各種の教相判釈を経て智顗の天台宗が成立した。華厳宗法相宗などの教学も成立する。これらの動きを中国仏教の開花というが、正確には「仏教の中国的咀嚼の成功」というべきであろう。仏教の真の中国化は、禅宗とおそらく浄土教の登場をまたねばならない。禅宗浄土教は仏教の「土着化」というのが正しいだろう。道教儒教とのあいだに大きな影響を及ぼしあっている。

引用・参照
・諏訪義純 「中国仏教の形成と展開」『仏教(下)』大阪書籍
・鎌田茂雄 『新中国仏教史』 大東出版社