No.04 月の砂漠

No.04 月の砂漠

2006/1/18(水)


 タクラマカン砂漠タリム盆地の大部分を占める。タリム盆地の北には天山山脈、南には崑崙山脈がそれぞれ東西に走る。天山山脈の南(砂漠の北)を通るシルクロードが天山南路(西域北路)、砂漠の南(崑崙山脈の北)を通るのが西域南路である。砂漠の大きさは、東西約2000km、南北約600km。日本がすっぽり入る大きさである。

 今回の旅ではタクラマカン砂漠に入ることはできなかった。二日目はトルファンに一泊した。トルファントルファン盆地のオアシス都市、天山南路の入り口の町である。しかし、トルファン盆地はタリム盆地とは別の盆地である。タリム盆地を鶏の卵大の楕円で表現すればトルファン盆地はその右上にくっついた鶉の卵である。火焔山はそのトルファンにある。

 砂漠といえば『月の砂漠』。出発前に、日が落ちて月が昇り始めた砂漠に向かってハーモニカを吹いてみたくなった。楽譜を手に入れてみるとシャープが一つついている。このような曲は苦手である。

 トルファンから東の敦煌やモンゴルにかけての砂漠はゴビタンといって砂礫でできている。まるで川原のようである。流砂の砂漠はタクラマカン砂漠の奥に行かないとお目にかかれないのだろうか。

 トルファンからはいったんウルムチに戻って、四日目の朝敦煌に向かった。敦煌の郊外に鳴砂山という名所がある。その麓に月牙泉(げつがせん)がある。大きな砂丘のもとに、三日月形の池があり、有史以来一度も涸れたことがないという。行ってみて驚いた。そこには、『月の砂漠』のイメージの砂漠があるではないか。近くの駐車場から、電気自動車か駱駝に乗ってゆく。駱駝は断念した。揺れがひどく乗りながらカメラを操作している余裕はないとのこと。しかし、電気自動車も道が悪い上に運転が乱暴で同じことであった。

 鳴砂山は広大な砂礫のゴビタンのなかで、流砂の砂漠の景観を作っている貴重な場所のようだ。そこに到着したのは夕刻。『月の砂漠』のメロディが浮かんでくる。満月ならばそろそろ顔を出しそうであるがと思ったとたんに体がよろける。強風が吹きまくっている。マスクやハンカチで顔を覆い、強風に飛ばされないように注意して足を踏ん張ってなくてなてはならない。何枚かの写真をようやくとった。