200-25-05

25-05 デジタル技術と復元

2006/2/4(土) 午前 3:54 --25 仏教と日本文化 歴史

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 奈良の唐招提寺では、平成12年5月から金堂を中心とした大規模な修復事業が始まっている。金堂の柱に寄りかかって往時の姿を偲ぶ楽しみはなくなった。金堂の柱は平城京の建物に使ってあったものを再利用したということだ。しかし、「唐招提寺金堂液晶映像シアター」が、唐招提寺境内に設置されている。このシアターで、金堂とその内陣に安置されている仏像の様子をCG(コンピュータグラフィクス)により再現したDVDソフト「唐招提寺 鑑真和上と東山魁夷芸術」が液晶プロジェクタ-で拝観者向けに上映され、修理中も金堂を仮想体験できるようにされている。

 2001年の正月に拝観したときに見た。画面が大きいこともあり、リアルで十分に楽しむことができた。この種のCGの良さは、当時の様子が再現されることである。すでに見えなくなった天井や長押(なげし)に描かれた絵や模様が忠実に再現されている。1200年以上の歴史を生き延びた建物の古色もすばらしいが、当時の色彩の再現もまた楽しみである。仏教の場合、一つ一つの色、模様にも意味が隠されていることがある。

 宇治の平等院のCGもNHKTVで放送されていた。パソコンの能力も向上し、インターネットも高速大容量化され、またハイビジョンによる高画質の衛星放送もある。コンピューターグラフィクスの技術の向上の成果を家庭でも享受できる時代になった。

 西の京というと薬師寺を忘れてはいけない。唐招提寺の少し南に薬師寺の伽藍がある。薬師寺唐招提寺とは対照的に西塔といわれる五重の塔をひとつ残すのみという荒廃ぶりであった。しかし、先代の管長の高田好胤さんらの努力によって、東塔、中門、回廊、金堂、講堂と再建が進められてきた。 CGによる再現にしろ、実際の再建にしろ、建立の当時の姿を目の当たりにできることはすばらしいことである。