No.07 酒泉

No.07 酒泉

2006/1/20(金)


 中国にとって二回目の有人宇宙船となる「神舟6号」は2005年の10月12日、酒泉衛星発射センターから打ち上げられた。甘粛省に位置する酒泉(しゅせん)は、千年以上にわたり河西回廊(かせいかいろう)の中心として栄えたオアシス都市である。酒泉という名は漢の武将霍去病が漢武帝から賜った酒を泉に注いで全軍の兵士に分け与えたことに由来しているという。

 西安から西域へ向かうと黄河に出会う。黄河は青海高原に源を発し、西安の西を北上している。この黄河を西に渡ると河西回廊に入る。河西回廊の「河」は本来黄河を示す言葉である。したがって、河西回廊は黄河の西に回廊のように伸びた地域を指す。

 河西回廊の南には祁連(きれん)山脈がほぼ東西に走る。祁連山脈は、長さ800km、幅300kmにも及び、4000mを超える山々が幾重にも連なっている。祁連山脈の南は広大な青海高原である。祁連山脈の万年雪や氷河が融けた水が川となって、河西回廊にはいくつものオアシス都市がある。敦煌は河西回廊のもっとも西に位置し、西域への出口にあたる場所にある。河西回廊は月氏、そして匈奴の支配するところであったが、漢の武帝のときに中国の支配するところとなった。

 いくつかのオアシス都市を結んで西域への道が発達した。今日中原と西域を結ぶ道(国道312号)や鉄道(蘭新鉄道)もここを走っている。今回の旅では飛行機を利用した。西安を離陸してまもなく、眼下は一面のゴビ砂漠となる。航路は河西回廊を北に外れたゴビ砂漠の上のようだ。ゴビ砂漠の風景は2時間以上続いた。その広大さに、唖然とするしかなかった。

 酒泉衛星発射センターは、実際にはモンゴル自治区に近いところで酒泉のさらに北の方にあるそうである。

(写真は機上から北を写す。その彼方に発射センターがあるかも)