No.12 儒学に関する用語

No.12 儒学に関する用語

2006/3/12(日)


『日本と中国』小学館

 朱子学北宋の程子川などの儒学(道学)を集大成して樹立した学問体系。形而上学としては程子」||の理気説にもとづいて、理気二元論に立つ。理は宇宙世界を生成する根本因、気はその材料となるもの。朱子は至高純一な理と、現象として多様な差別態として存在する気の両面を認め、この両者は不離一体としたが、生成論、価値論上からは理先気後説をとった。理は内容としては仁義礼智信五常。ことに君臣父子の上下関係を重んじた。さらに、その中での節義、名分が尊ばれた。

 道家老子を粗とし、政治、処生の術として無為自然を説く一派の称。人はむしろ無為を持することによって究極的な成功をうることができ、また心の安らぎをうることができるとする。日月星辰の運行、四季の推移など、何の作為もないのに存在する一つの秩序、理法を道と名づけ、人はこの道にしたがって無為自然を旨とすべきだという。

 道教:中国土着の宗教。現世利益と精霊崇拝を中心的教義とする。道教には開祖がない。体系化された教理・道義もない。中国人の間には自然発生的に生れた原始信仰、土着の宗教諸派を集大成した宗教である。中国古代では精霊を鬼神といい、それに天神・地祇・人鬼の三種があるとされた。天神とは天と日月星辰、寒暑、風雨の精霊も含む。地祇は大地の精霊、人鬼は死者の霊魂、魑魅魍魎、妖怪変化など。ある時期、不老不死を最高の目的とした。一般信徒は日常「積善」にはげみ、道士の発行する招福除災の御札をたよりに、現世的な福、禄、寿を神に祈った。

 陽明学:中国、明代中期の王陽明によって唱えられた、良知を基点とする学問をいう。陽明学は、朱子学と異なり、あらかじめ定められた理法に従うよりも、心の良知にもとづく是非判別の能力に絶対の信頼をおき、その本心のままに行動することを尊重する。聖人、凡人にともに良知を認め、良知を認め、良知を実現する方法として知行合一を説き、実践を重んじた。

 礼と戒律:礼は中国の社会を古くから秩序づけてきた伝統的規範の総称で、儒教倫理の徳目の一つともされる。礼とは豆、つまり器に肉を盛って、神に差し出すといった神聖観念から発生した。礼に関する多くの文献は前三世紀末ごろ編さんされたもので「儀礼」「礼記」「大戴礼」「礼」がそれである。
 戒はぼん語シーラの訳。仏教教団に入った者が守るぺき基本的な倫理をいう。律はぼん語ビナヤの訳。仏教では修行僧の遵守すべき規則の意味。戒が自発的な行為の基準であるのに対し、律は僧院生活者の拘束する法律にひとしい。