31-26 龍樹と鳩摩羅什

31-26 龍樹と鳩摩羅什

2006/10/3(火)


■ はじめに

 龍樹は西暦150~250年頃の人で、ナーガールジュナ(Nagarjuna)という。インドのバラモン(婆羅門)の学問をすべて習得したのち仏教に転向して、当時の上座部仏教と初期大乗仏教とを学んで大乗仏教に傾倒し、あまたの諸経典に通暁し、初期般若経典の空をもって大乗仏教の地位を確立した大論師である。龍樹の功績はなんといっても、大乗仏教を体系づけ、理論武装して伝統的な小乗仏教に比肩するに値するものとならしめたことにある。


■ 龍樹の教学

 龍樹は、仏教の原初からあった「空」の考えかたを、般若経の「空」の解釈により深め体系化した。その「空」の思想は中観派として後に多大な影響を及ぼす。龍樹以後の大乗仏教は多かれ少なかれ彼の影響下にあり、龍樹は八宗の祖とたたえられます。

 初期大乗の『般若経』の成立を受けて、空の思想を論理的・哲学的に整理し、それまでの部派仏教の思想がその原理を固定化・実体化すると矛盾に陥ることを示して論破している。すべてのものは実体がなく空である(無自性)という立場を表明している。


■ 龍樹の著作

 主著は『中論』(『中頌』)です。また、『大智度論』『十住毘婆沙論』『十二門論』などは有名で、中国や日本に重要な影響を与えました。しかし『大智度論』『十住毘婆沙論』『十二門論』は、漢訳のみしか存在せず、真作であるかどうか疑われている。


■ 龍樹と中国仏教

 龍樹の中観仏教を中国にもたらしたのは、訳経者として著名な鳩摩羅什(350~409年頃)である。この系統から三論宗が成立しました。この鳩摩羅什は、『坐禅三昧経』『阿弥陀経』『大品般若経』『法華経』『維摩経』『大智度論』『中論』などを訳している。

引用・参照
http://www.kosaiji.org/Buddhism/chugan.htm